フェアトレードラベルコーヒーについてのまとめ

フェアトレードの概要
フェアトレードはとそのまま訳したら「公平な貿易」という意味で、グローバルな国際貿易の仕組みは、経済的にも社会的にも弱い立場の開発途上国の人々は、時に「アンフェア」で貧困を拡大させるものだという問題意識から、南北の経済格差を解消する「もう一つの貿易の形」として始まった運動がフェアトレードです。国際的フェアトレード・ネットワークFINEでは、「フェアトレード」を以下のように定めています。
フェアトレードとは、対話、透明性、尊重に基づいた貿易パートナーシップであり、国際貿易におけるより大きな公平性を追求するものである。フェアトレードは、特に南部の不利な立場にある生産者や労働者に、より良い取引条件を提供し、彼らの権利を確保することで、持続可能な開発に貢献しています。フェアトレード団体(消費者の支援を受けた)は、生産者の意識向上や、従来の国際貿易のルールや慣行の変更を求めるキャンペーンの支援に積極的に取り組んでいます。 フェアトレードの戦略的意図は次の3つである。
①疎外された生産者・労働者が、脆弱な状態から安全が保障され経済的に自立した状態へ移行できるよう、意識的に彼らと協働すること。
②生産者と労働者が自らの組織において優位なステークホルダーとなれるようにエンパワーすること。
③より公正な国際貿易を実現すべく、国際的な場でより広範な役割を積極的に果たすこと。
以上の共通定義から、フェアトレードが最終的に目指しているのは「持続的な発展」であるが、 より具体的には
1)疎外された生産者・労働者の権利保障・自立・エンパワメント、および
2)より公正な国際貿易の実現、ないし国際貿易のルール・慣行の変革
の2つを目指していることが分かる(フェアトレードの2大目的)
フェアトレード連合体FINE(FLO、IFAT、NEWS! 、EFTA)より
ラベル(fairtrade)について
国際フェアトレード基準は最低価格やプレミアムの保証をはじめ児童労働の禁止等、社会、環境、経済的基準から成り立っています
フェアトレードが守るべき原則もまた多様ですが、2009年に世界二大フェアトレード連合体(WFTO=世界フェアトレード機構とFairtrade International=国際フェアトレード・ラベル機構)が「フェアトレードの原則に関する憲章」を制定しました。
憲章は「確信をなす原則」として次の5原則を掲げています。
①疎外された生産者への市場アクセスの提供
②持続的かつ公正な取引関係
③ 能力強化とエンパワメント
④ 消費者の意識向上とアドボカシー
⑤ 「社会契約」としてのフェアトレード
Fairtrade Internationalより
フェアトレードの良い所とよく挙げられる問題点
良い所
発展途上国の生産者、労働者の生活向上と保全ができる
生産者の方から見たら資本主義の理屈に則り価格競争を買い手側にしてもらったほうがいいように見えるが、買い手側はいつでも切り替えることができます。しかしながらラベルを付けて売るのには手軽に参加できるパートナーシップ制度でも年間で売ることが条件になっているので生産者の持続可能な生産に必要な価格を保証して取引する仕組みであります。
有機栽培による環境保護
国際フェアトレード基準では、森林保護区や生物多様性の保全、土壌・水源の保全など、環境関連の基準も多岐にわたって定められています。危険な農薬・薬品を使っていないかどうか、使用が認められている農薬であっても使用量を減らしていっているかどうか、環境や人体への影響が懸念されている遺伝子組み換え作物を使っていないかどうか、第三者の監査によって、定期的に確認している。というだけあって一緒にJAS認証もついていることが多い気がします。
作り手の顔が見えるため、安心感がある
サードウェーブが来てから大きい農園の農場主とかの顔が見えるのも珍しくなくなってはいるものの小さい生産者は見えないことが多いが基本生産国の農協とかでフェアトレードは行われてているので調べれば何県で作られたとかは割と出てきます。
SDGsの達成の手段にもなる
フェアトレード認証製品の購入は、SDGs目標12(持続可能な生産と消費のパターンの確保)達成のための手段の一つです。
良く挙げられる問題点
認証費用が高い
正直ホームページの認証の取得のための料金は高いと思いましたが収益分配の手続き、情報を公表、監査とかを考えると妥当だとは思います。
各国の団体の連携がいまいち
各国の国際フェアトレード認証ラベル団体の連携がいまいちで欧州の所のがネスレを認証してフェアトレード業界で問題になったというのは聞いたことがあります
フェアトレードに参加できない生産者の生活が悪化する
そもそも参加者がフェアトレードの価格で売れるのは2,3割だからそこまで変わらないでしょうし、フェアトレード参加者がフェアトレードで売れるならば、非参加者のフェアトレードでないものはその分売れず、その生産者の利益は減少するという主張ですが、現在のところフェアトレード取引の市場の中での割合は高いとは言えないので、非フェアトレード製品の価格への影響がそれほど高いとは言えません。それに生産者がフェアトレードに参加して競争が起きたことにより仲介人が従来の価格よりも高く非参加者に提示せざるを得なくなり、悲惨化の生産者にも恩恵が及んだことも少なからずあります。それにフェアトレードが地域に入り込むことで仲介人が独占していた地域市場に競争をもたらした事でフェアトレードは本来あるべき市場競争が実現しているともいえます。
まとめ
「世界からコーヒーがなくなるまえに」の中で”フェアトレードコーヒーは品質を下げて生産量を上げるほうに向かってしまう”と書かれていて少し動揺しましたがそもそも取材されている農園の人が比較的裕福なのだからこの評価は普通だと思いました。
フェアトレードコーヒーですべての問題が解決するわけでは勿論ありませんがSDGsや生産者の事を知るきっかけにはなるし、基準が厳しいだけあって質も普通にいいのでコーヒーを選ぶうえでの一つの選択肢としてはありだと思います。
参考文献
- 渡辺龍也、2010、フェアトレード学-私たちが創る新経済秩序
- アレックス・ニコルズ、2009、フェアトレード 倫理的な消費が経済を変える
- 長坂寿久、2008、日本のフェアトレード
- コナー・ウッドマン、2013、フェアトレードのおかしな真実
- ペトリ・レッパネン、ラリ・サロマー、2019、世界からコーヒーがなくなるまえに
- ニーナ ラティンジャー、グレゴリー ディカム、2008、コーヒー学のすすめ